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【偏愛土木写真0019】規則正しく美しく ~ダムの「フーチング」を愛でてみよう~

 このコーナーでは、土木写真部の部員が一押しの土木構造物やお気に入りの写真をご紹介します。第19回は、これまでの記事とはちょっと趣向を変えまして、『ダムに行ったら「フーチング」に注目してみましょう!』というお話です。

  ダムの写真と言えば、ダムの下流やダム近くの展望所から見下ろした全景写真を思い浮かべる方も多いと思います。
 もちろん、私もそのような写真がお気に入りなのですが、宮崎県を中心に県内外のダムを巡ってきた私が、ぜひ皆さんにも目を向けていただきたいのが、今回ご紹介する「フ―チング」です。


フーチングとは?

 ダムの「フーチング」とは、ダム本体と基礎岩盤法面との接点付近に、堤体端部のコンクリートと基礎岩盤の保護を目的として設けられる階段状のブロックのことです。

 私が勤務している「宮崎県高岡土木事務所」で管理している重力式コンクリートダム「瓜田ダム(宮崎県宮崎市)」を例に見てみましょう。

 赤丸で囲っている部分がフーチングです。下流面にだけあると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、大部分は水中に沈んでいるものの、上流側にも設けられています。

瓜田ダム下流面
瓜田ダム上流面

 下流面のフーチングは、堤体端部のコンクリートと基礎岩盤の保護という目的に加え、ダムの堤体内に設けられた「監査廊」と呼ばれる通路や放流設備のための建屋に向かうための階段として利用されているケースが多いようです。

下流面のフーチングに据え付けられた階段
監査廊への入り口

 一方、上流側のフーチングは、下流側と同様、堤体端部のコンクリートと基礎岩盤の保護という目的もありますが、ダムの建設中には、カーテングラウチング(ダム湖の水がダム堤体の下や左右の地盤に浸透して漏れるのを防ぐため、ダム周辺の地盤内にセメントミルクを注入し、遮水性を高める工事)の施工基面としても利用します。

瓜田ダム上流面 施工中

 そんな「フーチング」の被写体としての魅力は、何と言っても、規則性を持った構造物ならではの「構造美」でしょう。

フーチングを撮影する時のおすすめ角度

 それでは、私が好んで用いるフーチングの撮影方法を3パターン、ご紹介したいと思います。

■水平方向から

 まずは、瓜田ダム(宮崎県宮崎市)のフーチングを水平方向から撮影してみました。

瓜田ダム・遠景

 ダムの下流面と平行にならんだ階段がいいアクセントになっていますね。

 
■天端から見下ろしてみる

 次にご紹介するのは、長谷ダム(宮崎県西都市)のフーチングを天端から見下ろすように撮影した写真です。

長谷ダム・見下ろす

 緑色の手すりがダム下流の減勢工に向かってリズミカルに並んだ姿が印象的な写真になりました。

 

■下から見上げてみる

 最後にご紹介するのは、浜ノ瀬ダム(宮崎県小林市)のフーチングを下から見上げるように撮影した写真です。

浜ノ瀬ダム・見上げる

 こちらも銀色の手すりがリズミカルに並んだ姿が印象的ですが、フーチングの側面が見える分、天端から見下ろした写真に比べて、フーチングの高さがより感じられる写真になりました。

 ついつい全景で撮りたくなるダムや橋などの土木構造物も、時にはちょっと視点を変えて撮影してみてはいかがでしょうか。
 きっと、今までとはひと味違った土木写真に出会えると思いますよ。

 

今回ご紹介したダムの構造概要

1 瓜田ダム
  
所在地 宮崎県宮崎市高岡町小山田
  河川名 大淀川水系瓜田川
  型 式 重力式コンクリートダム
  堤 高 42m
  堤頂長 160.4m
  管理者 宮崎県
  完成年 1998年


 

2 長谷ダム
  
所在地 宮崎県西都市大字三納
  河川名 一ツ瀬川水系三納川
  型 式 重力式コンクリートダム
  堤 高 65m
  堤頂長 143m
  管理者 宮崎県
  完成年 1981年


3 浜ノ瀬ダム
  
所在地 宮崎県小林市須木九々瀬
  河川名 大淀川水系岩瀬川
  型 式 重力式コンクリートダム
  堤 高 62.5m
  堤頂長 183m
  管理者 九州農政局
  完成年 2014年


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写真・文:岡部 章 土木写真部長
 1992年に宮崎県庁に入庁。瓜田ダム建設工事事務所での勤務を皮切りに、県内各地で土木工事の調査・設計・監督業務に携わる。
 土木構造物を世界にただ一つのオーダーメイドの作品と捉え、その魅力をより多くの人に伝えようと、2014年に「土木写真部」を立ち上げる。
 ライフワークは土木広報と景観まちづくり。宮崎県高岡土木事務所工務課長、日本ダム協会認定ダムマイスター

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