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東京の地下40mで巨大鋼鉄マシンに出会い人生が変わってしまった話

はじめましてこんにちは。
『from DOBOKU』で副偏集長を務める小島健一と申します。
私は土木学会の人間ではないですし、土木を本業にしている人間でもありません。いわば土木ファン。普段は工事現場をはじめ、工場や研究所、産業遺産などいわゆる社会科見学な現場を見学し、それらを撮影・記録したり、コーディネートする仕事をしています。
今回は挨拶がわりに、私が土木に興味を持ったきっかけと、そこから社会科見学をはじめた理由などを書きたいと思います。


当たり前すぎてほとんど気にしていなかった土木

はじめに正直に告白しますと…
私自身、工事現場を見学し、現場の人たちに接するまで「土木」を強く意識したことがありませんでした。
道や橋、上下水道など「街は土木によって作られている」。しかし、それらは呼吸をするくらい当たり前に存在していて、普段意識することなく過ごしていたのです。
見学会を通して、土木やそれを支える人たちに気づいたのが28歳の時。

むむっ、もっと早く気づいていれば、私も土木を専門とする仕事をしていたかもしれません。
実際、工事現場を見学したことで私の人生は多少なりとも変わってしまったんですよね…


都市の地下で出会った巨大鋼鉄マシン

上に書いた私の人生を変えてしまった工事現場とは「日比谷共同溝」です。共同溝とは、電気、ガス、電話、上・下水道など、いわゆる”ライフライン”をまとめた地下のトンネルです。

2003年11月から東京虎ノ門で工事中の日比谷共同溝を体感するイベント「ジオサイトプロジェクト」が行われ、私は第2回目の「沈黙のシールドマシン展(2004年4月)」から参加しました。
きっかけはブログ仲間から「東京の地下を探検できる」と聞き、「なにそれ、おもしろそう!」と物見遊山気分で出かけたのです。

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現場は、地下鉄虎ノ門駅から地上に上がってすぐの交差点。文科省の前にあります(Google Map)。車もたくさん行きかう国道1号わきのヤードの階段を下ること地下40m。

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そこには450tの鋼鉄の塊「シールドマシン」が鎮座していました。

発進前のシールドマシンなので、まさに「沈黙のシールドマシン」です。発進前のシールドマシンそのものが展示品という前代未聞のイベントでした。
シールドマシンの価格は数億円。それを美術品ととらえたら… まちがいなく世界の高額美術品ランキング上位に入りますよね。(しかも、それがトンネルを掘ってくれるのだからありがたい)

冗談はさておき、当時の私は「シードルマシン」がどういうものかよくわかっていなかったのですが、異空間のような地下世界とシードルマシンのとにかく圧倒的なヘビーメタル感にアテられてしまいました。


※シールドマシンをご存知ない方のために書いておくと、シールドマシンとは主に都市部で用いられるトンネル掘削機で、面盤で土を押し削りながらトンネルの壁も一緒に施工してしまう機械です。

荒いですが当時の映像です


そして、ジオサイトプロジェクトではまだ使用前のトンネル(麻布共同溝)を使って写真展など行っていました。想像をはるかに上回るロケーションの使い方にワクワクしました。
都市の地下に突如現れた何もかも非日常な空間。
 
「またここに来たい!」
そう思っていたところ、その年の冬(2004年12月)にジオサイトプロジェクト第3回「地底現場応援団」が開催され参加しました。


「あたりまえ」の裏側にいる人たちに会った

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このイベントがまたよかった!

共同溝を作っている方たちが「地底学芸員」となり、自分の言葉で自分の仕事を語ってくれたのです。「~はどうなっているんですか?」と質問しようものなら熱くあつく徹底的に教えてくれました。

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立坑には現場で働く方たちの声も貼ってありました。

初回はなんだかわからないままに「すごいものを見た」という感覚だったのですが、「地底学芸員」の解説を聞いたことで、これだけ圧倒的なものを「人が作り上げた」ことを実感しました。

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ほれぼれするかっこいいトンネル
こんな所を歩いていくと到達するのは…

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トンネルの先端「シールドマシン」

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土圧を支えるシードルマシン

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ここでも「地底学芸員」さんが
セグメント(トンネルの壁)を吊る実演をしてくれました


長いトンネルを歩き地上に戻ると、あたりはすっかり暗くなっていました。

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そして、ふと街灯を見上げた時、
「あぁそういえば… この街はすべて人の手が入っているじゃないか」
と、再認識したのです。

身近にある「あたりまえ」の裏には多くの人がかかわり、多くのストーリーがある。日比谷共同溝の見学を通しそれを実感し、初めて土木に興味を持つようになりました。
 
また、これらのジオサイトプロジェクトに参加し「公共工事は見学者が集まれば見学できる」ことを知り、WEB上で見学者を募る「社会科見学に行こう!」というグループを立ち上げ、その後どっぷり社会科見学にはまることになるのですが、その話は別の機会に…

ふと気づけばあれから17年。私が今こうして土木学会のサイトで文章を書き連ねているのは、日比谷共同溝を見学したことが発端になっていることは間違いありません。 

私の役割(小島の場合)

私としては、自分自身の「門外漢も土木の現場に触れることで土木に興味を持つ人間もいる」という実体験から、このメディアを通して「こんな現場もあるよ」、「土木はこんな楽しみ方もあるよ」とご紹介するとともに、土木の専門外の方が土木の現場に触れられる機会を作りたいと考えています。編集長である「デミーとマツ」も、九州を中心に採石場やダムでの見学会をたくさん行っています。

コロナ禍のこんなご時世なのでどういう形で実現できるか定かではありませんが、このメディアは一方的に読むだけでなく、読んだ方にもご参加いただける双方向メディアとして成長するよう、みなさまと一緒に作り上げられたらと思っています。


ご感想はもちろん、「今この工事がおもしろいよ!」、「土木の~が好きなんです!」などタレコミや熱い思いをいつでもお送りいただけると嬉しいです!

蛇足ではありますが、日比谷共同溝は一般公開されたジオサイト以降も何度か訪れたので写真を貼っておきます。

日比谷共同溝写真集(あるいは偏愛の片鱗)

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工事中、夏は湿度が高いため壁が結露し、艶めかしく濡れていました

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赤や緑などの照明(非常用バッテリー付き)は50m間隔で設置されています

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カーブする場所にはダグタイル鋳鉄のセグメントが使われていました
この黒光りした感じがまたたまりません

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工区を掘り終えたシードルマシン
貫通直後は銀色だった面盤もすぐ酸化し錆びていきます
役割を終えた直後に老い、切り刻まれるのを待っている
愛しさと切なさのRe沈黙のシールドマシン

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シールドマシンが撤去された日比谷共同溝

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濡れたコンクリートが好きなのでこういう場所は思わず撮ってしまいます

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完成したトンネルにガス管が設置されているところ

共同溝は完成後「都市の大動脈」になるため、見学できるのは工事中だけなんです。共同溝に限らず、道でも鉄道でもインフラは一度使われはじめるとなかなか細部まで見ることはできません。
だからこそ、こういう見学会やりたいですね!

最初のきっかけなんて「写真を撮りたい」とか、「地下に入ってみたい」とか、なんでもいいと思うんです。興味って動くことから派生しますから。
おもしろそう!と思ってくれたらあなたはもうfrom DOBOKUの仲間です!


参考リンク



文責・写真:小島健一

















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